多汗症

多汗症

こんなお悩み・症状はありませんか?

  • 暑くないのに汗が出る
  • 汗の量が人より多い
  • 汗のせいで日常生活に支障をきたす

このような症状やお悩みがある方は当院にご相談ください。

多汗症とは?

多汗症とは、異常な量の汗をかく状態を指します。通常、汗は熱や運動に関連してかくものですが、多汗症になると生理的に汗をかく状況ではなくても多量に汗をかくようになります。
多汗症には、腋(わき)や手など限定された場所のみに汗をかく場合と、全身に汗をかく場合があります。また、思春期前後から発症することもあれば、成人期になってから発症することもあります。
汗を多量にかくため、日常生活に支障がでたり、精神的な負担につながったりすることも少なくありません。原因を正確に判断し、適切な対処法をとることが大切です。

多汗症の症状

運動時や気温の高い状況で汗をかくのは生理的な反応ですが、多汗症になると、生理的反応の範囲を超えて多量の汗をかくようになります。多汗症では、運動や気温などの要因がない状況においても手のひらや腋、なかには全身に多量の汗をかく方もいます。
手や足の汗は滑り止めとしての役割を持っていますが、汗が多量にでることから、ものを持つときなどに滑ってしまうことがあります。その結果、日常生活のちょっとした動作に支障がでるようになります。
また、多汗症は、精神的なストレスや緊張下において悪化することがあります。原発性局所性多汗症の場合は、幼少期や思春期に発症することが多いです。日中に多量の汗をかく一方、就寝中は汗が止まります。

多汗症の原因

発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかともいわれていますが、まだはっきりしたことはわかっておりません。海外では多汗症患者で60~65%に家族内に同じような症状の人がいた(家族内発症)との報告や遺伝形式が常染色体優性遺伝が疑われるとの報告があります。日本では重症の多汗症患者の家族内発症がみられる家系での遺伝子分析で原因遺伝子の存在が示唆されています。

多汗症の治療法

多汗症では原因となる病気の有無によって治療法が異なります。続発性多汗症で、多汗の原因となっている病気が明らかであれば、その病気の治療を行います。
原発性局所性多汗症に対する治療としては塩化アルミニウムの外用があります。これは古くから行われる治療法ですが健康保険が適用されず、どこの医院や病院でも出してもらえる薬ではありませんでした。しかし、最近では腋窩(えきか)の多汗症に対して健康保険が適用となる抗コリン作用をもつ外用薬が登場しました。
手のひらや足の裏の局所性多汗症に対しては、皮膚に電流を流して発汗を抑制する「イオントフォレーシス療法」という方法もあります。イオントフォレーシス療法で用いるのは微弱な電流なので痛みや副作用はありませんが、繰り返して治療する必要があります。また、ボツリヌス菌毒素を注射する治療も行われています。この注射は1回打つと半年ほどの期間効果があります。さらに、腋窩多汗症に対しては電磁波であるマイクロ波を使って汗腺を破壊するという方法もあります。また重症の局所性多汗症に対しては、汗腺支配神経である「胸部交感神経」をブロックする「交感神経遮断術」があります。
症状が出現する部位や日常生活への支障の具合を見極めつつ、治療法を選択することになります。多汗症はQOL(生活の質)に大きく関わってくるのですが、何に困っていて、どの程度治したいのか、治療法にはどのような副作用があるのかなどを十分に認識し考えたうえで、治療法を選択することが重要です。