円形脱毛症

円形脱毛症

こんなお悩み・症状はありませんか?

  • 10円はげ、500円はげができていると指摘された
  • 脱毛が突然始まった
  • 頭部の地肌が見えたり、周辺との境界が比較的はっきりした脱毛斑がある
    髪がゴワゴワする、頭皮がチクチクしたり、ピリピリするなど、いつもと違う感触がある

このような症状やお悩みがある方は当院にご相談ください。

円形脱毛症とは?

何らかのきっかけによって本来、細菌やウイルスなどの病原体を壊そうとする働き(免疫)が自分自身の身体に向いてしまい機能が損なわれる病気を自己免疫疾患と呼びます。円形脱毛症は毛を作る毛包周囲に炎症が起き、一部のリンパ球が毛包の組織を壊そうとする自己免疫反応が起きておりその影響で毛が抜けてしまう病気です。
脱毛症状は頭部に1個、円状に出ることもあれば、頭部に多発したり、眉毛や睫毛、髭のみ、体毛のみに生じるなど、身体のどの部分にも起きる可能性があります。さらに、症状が重い場合には、頭全体、あるいは全身の全ての毛が抜け落ちる場合もあります。医学的には、頭部に1つだけの円形の脱毛がある場合には単発性通常型(単発型)、多発する場合には多発性通常型(多発型)、頭全体が脱毛した場合には全頭型、全身に脱毛が及ぶ場合には汎発型、また稀ではありますが、頭髪の生え際が帯状に脱毛する場合を蛇行型といって区別しています。全頭型、汎発型、蛇行型は通常型と比較して治りにくい傾向があります。
円形脱毛症の症状が出るのは一生に一度だけのこともあれば何度も再発する場合もあります。兄弟姉妹、親子で発症することも珍しくありません。つまり、円形脱毛症を発症しやすい遺伝的な体質を持っている場合があります。アトピーの素因、甲状腺の病気や膠原病(こうげんびょう)との関連もいわれています。

円形脱毛症の症状

一般的には、頭髪の一部に突然円形の脱毛斑(頭髪が生えない部分)が現れますが、大きさは重症度によって異なり、軽症な場合は小さな脱毛斑ができるものの1年以内に80%は治るとされています。
一方、脱毛斑が大きい場合は徐々に脱毛する範囲が広がったり、別の場所にも脱毛斑が現れたりすることで頭髪の多くが失われることも少なくありません。重症な場合には頭髪だけでなく全身の体毛に脱毛が及ぶこともあります。
また、円形脱毛症は頭髪の異常以外にも爪に小さなへこみや溝などができるケースが4人に1人の割合でみられるのも特徴のひとつです。

円形脱毛症の原因

ストレス・神経障害・内分泌異常などさまざまな説が唱えられていますが、最近は自己免疫が原因である説が有力です。脱毛部を顕微鏡で調べると、血管から皮膚に集まったリンパ球(白血球の一種)が成長期の毛根を攻撃しているようなことがみられます。リンパ球に攻撃された毛は萎縮して成長が止まり、抜けていきます。
免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵を認識して排除する生体の防御システムです。生物は自分の身体(自己)とそうでないもの(非自己)を見分ける仕組みを持っています。しかし、何らかの理由でこの自己・非自己の認識が乱れると、リンパ球が本来ならば攻撃の対象となってはいけない自分自身の成分を攻撃するようになります(自己免疫反応)。このように自分で自分を攻撃することが原因となる病気を、自己免疫性疾患といいます。
攻撃される対象が毛根の場合には脱毛症になりますが、ほかにも多くの自己免疫性疾患があります。皮膚のメラニン細胞が攻撃されると、色が抜けて白斑(白なまず)になります。天疱瘡 (てんぽうそう)では表皮が攻撃され、全身に水ぶくれができます。皮膚以外にも甲状腺の病気・血液の病気・神経の病気・関節リウマチなどの膠原病も自己免疫性疾患の一つです。
家族内に自己免疫性疾患が多発することも稀ではなく、免疫の調節異常をきたしやすい遺伝的素因があると考えられています。しかし、双子(一卵性双生児)でも一方のみに生じることがあり、遺伝的素因のみではなく後天的な環境・外的因子も関与しています。

円形脱毛症の治療法

円形脱毛症は、発症してからの期間と脱毛斑の大きさや数によって治療法が異なります。
発症して間もなく脱毛斑が小さい場合は、毛包の炎症を抑えるステロイドなどの塗り薬やグリチルリチン酸、セファランチンなどの飲み薬が使用されます。
一方、これらの治療を続けてもよくならない場合は、脱毛斑に直接ステロイドを注射する治療が行われることも少なくありません。また、ステロイドの注射は皮膚がへこむなどの副作用にも注意することが必要です。半年以上経過しても症状が改善しない場合や脱毛斑が広範囲にわたる場合には、頭皮にかぶれを引き起こす薬剤を塗って炎症を引き起こし、リンパ球の毛包への攻撃を弱める“局所免疫療法”が行われます。通常は1~2週間に1度の治療を繰り返し行う必要がありますが、保険適用が認められていない治療であるため、治療にかかる費用が高額になることがデメリットのひとつです。